プロクラステスのベッド

僕は音楽家だ。だからカラオケに行ったり、楽器を目の前にしたりすると周りの人に音楽家としての力量を試されてしまう。

しかしだ、これが音楽家ではなく小説家だとしたら活字を残すたびに小説家としての力量を試されてしまうし、お笑い芸人出会ったら人と話すだけで芸人としての素養を試されてしまうのかもしれない。実に恐ろしい。小説もお笑いもしないことにしよう。しないけど

 

今日は早く起きて映画を観に行こうとおもったが雨だったからやめた。おそらく雨じゃなくても行ってなかったとおもう。

7時に起きて寝て、11時に起きて寝て、4時に起きた。今日はアルバイトもなく学校もないのでこの生活を誰に咎められる訳ではない。それは幸福なもので、その生活を失ってからかけがえのない愛しいものであったと気づくのだろう。しかし誰かに咎めて欲しいとおもってしまうのもまた真なのである。こんなに孤独を感じるのはセミダブルのベッドで毎日一人で寝ているからなのではなかろうか。独り身で大豪邸に住んで居てはきっと不便で孤独だろう。それと同じように独り身には1Kの六畳間、シングルの硬いベッドがお似合いなのだ。

毎日毎日ふかふかのセミダブルのベッドを持て余し孤独を蓄積させてきた。すぐには気づかないレベルの量を少しづつ少しづつ。その孤独がダムを決壊させるように溢れたのだ。

毎日ソファーで寝てやろうかと思う。

 

たまに人からラインが来る。僕にラインをよこすのは何か嫌なことがあった人、もしくはいい事がない人だ。幸せな人は僕に連絡なんかしない。僕だって幸せな時は人に連絡しようとは思わない。それにしたって虚しい。そうは思いませんか。誰からも連絡がこなかったらもっと虚しいけど。